写経やってます。

コピーライティング(セールスライティング)の技術を習得するには、良いコピーを書き映すのが良いと言われておりまして、書き写す行為のことを、通称、写経と言うのですが。

はじめて聞いたときには、お寺にお納めする仏教の般若心経の写経を思い浮かべて、精神統一のためかいな?と想像して首をかしげましたが、そうではなくて。

良いセールスレターを書き写すことで、言葉のリズムや文章構成や人の心を動かす技術を「体得」するための基礎練習と言えましょう。
おおくのコピーライティングの大御所が、この方法をお勧めしています。

翻って、ネット上などでいろいろとコピーの写経について検索していくと、

・コピーライティングに写経は必須
・コピーライティングに写経は不要

と大まかに二つの発言がありまして、これも面白いなぁと思ってみていました。

結局どーなの?必要なの?と考える人もいるのかもしれません。

私の中での写経の位置づけ

人がどう思うのかはそれぞれだと思いますので、私の今の考えだけ述べます。

私はセールスライティングにおける写経は、「型稽古」だと思っています。

だから、しっかり「技」として習得したいのであれば、必須です。

もし、空手などの武道や何か「道」のつく芸事などのお稽古事をされている人だと理解は早いと思います。

例えば空手の型稽古は、型の反復を繰り返して行い、無意識の動きの土台を作ることができます。しかもその型とは、実戦で使われる効果的な個々の動きが一連の流れで集約されているものであり、これを繰り返すことで、いざ本番となったときには考えることなく体を正しく効果的な場所へ瞬時に動かせるようになります。

型が上手な人は実戦(組手)でも強いのが当たり前。その差は歴然です。
なぜなら瞬時に無意識レベルで技が繰り出せる分、実戦(組手)では相手の動きの先や間合いを読むことに意識を使える余裕があるからです。

能の舞のお稽古でも、ほんの一瞬の短い動作を何度もやり直し、体が会得するまで繰り返します。一つひとつの動作は、手足のわずかな動き、装束の中での重心移動など連続した動きであり、観客の気にとまらないものです。
しかし基本ができていないと、微妙な動きのブレが生じて観客を惹き込めるだけの舞にはなりません。だから師匠がつきっきりで、徹底的に基礎の型を稽古します。

ピアノも毎日、運指の練習を繰り返していたし。

演劇でも発声練習と腹筋は欠かせないし、感情表現の練習を延々します。

写経もこれと同じことで、クオリティを高いレベルで目指し、素早くかけるようにするなら、必須の練習と心得るとよいと考えています。

ここで大切なのは、初心者は、型稽古の意味が初めから分かっているわけではない、ということ。

ひたすら最初は型稽古。意味などわからなくても無心に行います。
意味が見えてくるのは実戦に出て、その後に型稽古に帰ってきたときです。実戦と型を行き来するようになると、今まで見えてこなかった細かいポイントに気付くようになってきます。
この気付きが大切で、気付いたことをモノにするたびに、自分の技術の精度は上がり、洗練されていくものです。

セールスライティングの写経も、ただ書き写すだけであれば何の意味もないという意見が散見されます。確かに正しいです。
しかし、だからと言ってやらない理由にはなりません。

初心者はまずは基本の型(写経)をやる。

その次に型の感覚をもって、実践(実際にセールスライティングを一から本気で書く)に移る。

書き写している行為の意味は、実際にライティングをやってからジワジワわかってくるものではないかと。
そんな先の話を、稽古を始めて間もない人が論ずること自体がおかしいんですよね。経験を蓄積している段階なのですから。

だから、写経をするかしないかについては、論を待たず必要と私は考えます。

そして、実際に自分のライティングを世に出すようになった後でも、続けていくものである。

と言うことになります。(その道で精進したいなら)

逆に写経しなくてもいい人というのは、コピーライティングに携わる前に、セールスや講師業を徹底的にやっていた人で、論理的思考能力が抜群にあり、なおかつそれらを自由自在に文章で表現できるスキルがある人だけです。

そうじゃなければ、ひとまず写経を始めて続けておけば、後々になってから気づきや上達の波がドーンとやってくる可能性があると思っています。

写経以外に方法はないのか

ただし、写経自体はあくまで一つの手段であるとも考えられます。

他の方法で同じ結果が得られるのであれば、別に問題はないとも思います。

コピーライティングの売れる文章の要素や構成を、自分で使えるようにするための過程において、書き写すという手段を使うか、そのほかの手段を使うかの違いです。

では、写経以外に何か方法があるのかということを考えてみるときに、私はNLP心理学のVAK理論を使うとわかりやすいのではないかと。

NLPの詳しい説明は端折りますが、超絶簡単に言えば、人間は「外部刺激」が入力され情報処理される時に、5感のフィルタを通じて、頭脳に記憶されます。その中で人が最も利用するのが

・見る(Visual)

・聴く(Auditory)

・身体の感覚(Kinesthetic)

です。頭文字をとってVAK理論と言われます。

人それぞれ、「見る・聴く・身体の感覚」で優位なものが異なります。だから得意な感覚を使って学習やコミュニケーションを進めれば効率が上がったり、楽にこなすことができるんですよね。
(私は会社員時代に部下育成にこの理論をよく使っていました)

コピーライティングの型稽古である写経は、「書き写す」という「視覚」と「身体感覚」を使った学習方法です。

身体感覚が優位な人であれば、写経は楽にこなせますし、楽しいとすら思うでしょう。しかし、聴覚優位の人だとちょっと手を動かしてひたすら書くのは辛い場合があります。

ならば、良いセールスレターを、

・聴覚優位なら、読み上げて音声で録音したものを繰り返し聴く

・視覚優位なら、書かれたレターに色ペンで線をひいたり、動画やイラストや図、脳内イメージングを利用する、部屋の壁など見えるところに貼って何度も目にする

といった、自分の優位な感覚に沿った方法を取り入れて工夫すればいいのです。

自分の優位タイプは、「NLP VAKテスト」 などでネットで検索すればたくさん出てきます。もしくは、普段自分が使っている言葉遣いが、

「見える・見通しがイイ」・・・視覚
「聞こえる・考える・思う・耳さわりがいい」・・・聴覚
「感じる・気になる・おいしい話」・・・身体感覚

のように、どの感覚によるものが多いのかで判断してみる方法があります。

尚、視覚・聴覚・身体感覚のタイプは、人によっては優位度がまんべんなく均一という人もいるし、一つの感覚にがっつり偏っている人もいます。

バランス型はひとまず写経という王道を踏襲すればいいのだけれど、聴覚だけめちゃめちゃ優位の人なんかはつらくてたまらないかもしれませんね。だったら自分の個性に合わせて手段を補えばいいわけです。

(補足しておくと、使わない感覚機能を使うことで、開発していくこともある程度可能です。)

世の中には、ある感覚器官だけがずば抜けて鋭敏な人というのがいて、王道が通じないケースがあります。ケースとしてはレアかもしれませんが、それが原因で成長にブレーキがかかるのはもったいないですよね。

ま、とりあえずセールスレターを印刷して、書き写すなり、読んで録音するなり、いろいろ自分でやってみて、タイプに合わせてしっくりくる方法を追加すれば良いのではないでしょうか。あ、手が痛いからやらないとかはダメですよ。手が痛い場合は筆圧をかけなくてもインクが出やすいペンを使ってください。万年筆とか、ボールペンもジェルインクのものが楽です。グリップ部分がやや太めでラバーがついているのもいいでしょうね。

私はあまり感覚の優位に偏りがないタイプです。その代わり突出している感覚もありません。
写経については、1枚書き写してみて違和感もなく、このまま続けることにしています。私は息を吸って吐くように文章を書きたいから。基本を繰り返しですね。

何をするにも、基本の目的はブレないように固定しつつ、どうしても違和感があるものは工夫して変化を取り入れるのが良いと思いますよ。

1人でも継続できる人が増えますように。